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綾辻行人「Another(下)」

Another(下)

綾辻行人

文春文庫

Another(下)

綾辻行人 読了日:2012年3月9日(金) お気に入り度:5.0 星5.0

「死者が誰か?」気になり一気に読んでしまいました。次々に表れる犠牲者。死者は誰なのか、呪いを止める方法はあるのかと追いつめられていきます。ようやくたどり着いた「呪い」を解く方法。はたして、成功するのか。

最後まで息をつかせぬ展開で一気に読ませてくれました。上下巻とボリュームたっぷりですが、そんなボリュームを感じさせないで最後まで一気に読ませてくれます。

読んでいるうちに恩田陸の「六番目の小夜子」を思い出しました。あとがきにもあったように、影響を受けた作品のひとつだったそうで納得です。全体の印象は「六番目の小夜子」と「緋色の囁き」を足して二で割ったような感じを受けました。

「死者」に関しては、やっぱりという印象でした。ミステリを読み慣れている人はある程度あたりを付けられるのでhないでしょうか。ただ、個人的には気がつきたくありませんでした。最後にきちんと驚かされたかった。もったいない読み方をしてしまいました。

榊原恒一と見崎鳴の二人が「いないもの」として扱われる状況は、ちょっと憧れました。「いないもの」として扱われるのはつらいけど、気になる女の子と二人だけの特別な時間というのは、ちょっと魅力的かも。男の子なら、ちょっぴり憧れてしまうシチュエーションなのではないでしょうか。

最後に死者にとどめを刺す場面は、自分だったらできるだろうかと恐ろしくなります。結果は正解でめでたしめでたしだったけれど、一歩間違えれば殺人者。事前の勅使河原の失敗もあったので、躊躇してしまうように思います。

振り下ろす勇気が持てるのか。

見崎鳴への信頼もあったと思いますが、「死者」との関係を考えると、やはり簡単に決断できるものではないと思います。だからこそ、見崎鳴は一人で全て終わらせようとしたのでしょう。自分だったらびびってしまいそうです。

結局、今年の呪いを止めることに成功しましたが、根本的な呪いの解除には至っていません。また、来年も3年3組で同じことが繰り返されていくのでしょう。いつまでも続きそうな「呪い」が恐ろしかったです。

榊原恒一と見崎鳴の今後はとても気になるところ。あとがきに続編や外伝の構想も…と書かれていますので、ぜひ書いてほしいところ。綾辻先生、よろしくお願いします。

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